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5歳児 年長組らしく

園だより

先日のお昼の出来事。

お弁当を食べ終え、その後の遊びを各々楽しんでいる中、当番の子どもたちがモルモットのお世話をしていました。協力しながら、一通りお世話を終えると、そのなかの一人、Iちゃんから「せんせーい」と呼ばれました。

「あのね、明日の分の新聞紙がもう一枚しかないの。今日はできたけど…」と言うのです。

自分たちはお世話できたけど、明日のお世話では新聞紙(モルモットの『お布団』として使用)が足りない。それでは当番の人たちもモルモットも困る、そのような気づきや思いが、Iちゃんの発言には込められていたように感じました。

「それは大事なことに気づいたね、ちょっと歩けば古い新聞紙を譲ってもらえるところがあるから、今なら一緒に行けるよ?」と尋ねると「うん、取りに行く!」とIちゃんの力強い返答。

しかし2人では心許ないので、誰か手伝ってくれないかと声をかけると、A君、Ha君、Hi君、M君が一緒に来てくれることに。

5人は新聞紙を求めて、昼下がりの路を歩いて向かいます。冬とは思えない暖かい日差しが降り注ぎ、「なんか、ゆり組の日の探検みたいだね」「あぁ、あれはたのしかったな」などなど話も盛り上がって、気分上々。

 

そして新聞紙置き場に着き、ちょうどその場にいらっしゃった管財課の方に「新聞紙ありますか?」と尋ねると、「沢山あるよ」と教えてくれました。

厚さ20cm以上、数日分の新聞紙の束がビニール紐に括られて何束もありました。年長といえど一人で持つには重すぎると思い、「じゃあ2人でこれを…」と一束渡そうとすると「いや、一人でいい。大丈夫、行けるから」とM君。その意気込みに他の子も「大丈夫、行けるよ」との事。

保育者にはその後の様々な予測がたちましたが、まぁいいかとひとまず子どもたちの意志に任せ、一人一束ずつ渡しました。

「おりゃああ〜」と気合で歩を進めていく男の子たち。「いけるいける」とIちゃん。

しかし現実は甘くはありません。新聞紙の束は確実に、彼らの両手にじわじわとのしかかってきます。ピンと張っていた背筋も、両手に抱えた新聞紙によって、次第に真ん丸とした姿に…。

すると保育者と一緒に歩いていたIちゃんの束の紐が外れてバラバラになってしまいました。そして、数10メートル先からも「たすけて〜」とM君の声。様子を見にいくと、こちらも新聞紙が散乱(その先を行っていたA君、Ha君、Hi君も途中で紐が外れたり、大変だった様子。保育者としてはこうなることも予想していました)。

このままでは幼稚園に運びきれない…と困っていると「わかった、みんなを呼んでくる。Iちゃんと先生、ここで新聞紙が風にとばされないように見張ってて」とM君は猛ダッシュで幼稚園に向かって走っていきました。Iちゃんと保育者もその助けを頼りにしながら、バラバラになった新聞紙をまとめていました。

すると数分後、「どうした〜?」とHちゃんとKちゃん、「だいじょうぶか?」とKくん、その後も続々とサポーターが現れて結局クラスのほとんどの人が走って助けに来てくれました。その後は2〜3人で一緒に新聞紙の束を運んだり、一束を分配して運ぶようにしたりと、いろいろ子どもたちで考えながら、運んでいました。

 

思うようにいかないことがあっても、頼りにできる友だちがいる。信頼して声をかけられる。子どもたちの生活の何気ない一場面でしたが、これまで共に過ごし、かかわりを育んできたことが垣間見られた瞬間でした。

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