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モルモットのお世話をめぐって➀ ~主体性・協同を育む過程を大切に~

園だより

4歳(年中)児ばら組の仲間であるモルモットのしいなくん、子ども達が毎日お世話をしています。一学期から、有志で野菜を持ってきてくれたり、抱っこして可愛がったり、新聞紙を取り換えたりといったお世話を一緒にやってきました。

これからより意識的にモルモットのお世話をしていきたいと考え、“お世話係”として、モルモットのバッチを4つ導入し、毎日お世話をしたい!という4人の子どもにお世話係になってもらいました。

モルモットバッチを胸元に付け、お世話をする4名の子どもたち。お世話係ではない子どもも、「なにこれ?」「いいな」「わたしもそれ付けたい!」と興味あり気に見ていました。

すると翌週、お世話係の4人以外にも、お世話をしたい!という子どもが出てきました。2人の女の子(Aちゃん、Bちゃん)がお世話係の子ども達に「お世話やりたい」と言いに来ました。

さあ、どうしよう?バッチは4つしか無いし、今は4人でお世話係をやるってことになっているし…。係の子どもは、「私がやる。私がお世話係なんだもん」と主張。バッチをつけているし、それもそうですね。この日は、お世話係の4人が主張を通し、責任もってお世話をしました。

 

その翌日。Aちゃんは登園するなり保育者に「モルちゃんやりたい!!」と意思表明。さぁ、どうする?とまた相談が始まります。

「やりたい人みんなで、お世話のやることを分けたら?」(つまり6人でお世話をすればいいのでは?)

「でも、4つしかバッチがないよ。もう4人で決まっちゃったしねぇ」

「野菜をあげるとかなら、バッチがない人がやってもいいんじゃない?」

などなど、色々な意見が出ました。しかし解決の糸口はなかなか見つからず、AちゃんとBちゃんは、お世話できそうもないと感じたのでしょうか、遊びに行ってしまいました。

次の日、Aちゃんがモルちゃんのために野菜を持ってきてくれました。「野菜、持って来た!」と気合の入った表情のAちゃん。お世話をしたい、そのために野菜を持って行こう、と考えたのでしょう。

この日は午前保育、さらにプールもあったのであまり時間がありません。プールを終えて、慌ただしく着替えと帰り支度をします。

すると、お世話係の子どもが「モルちゃんのお世話してない!」と気がつきました。前日までにお世話をしたいと言っていた子ども多くもいたので、私は子どもたちに「モルちゃんのお世話をしたいんだけど、やりたい子、着替えが終わったらテラスにおいでね」と声をかけました。すると、やりたい子どもが10人以上集まりました。

そこで保育者から子どもたちに問いかけました。「昨日も、モルちゃんのお世話係のほかにも、お世話をやりたい人がいて、でもバッチが4つしかないからどうしようか、って話をしたよね。今こんなにやりたい子がいてとても嬉しいけど、どうしたらいいだろう?」

すると子どもたち、それぞれ考えたことを言ってくれました。

 

・「(お世話をやりたい人のなかで)背の大きいほうがモルモットをやる」

・「自分のマークはたんぽぽさんもゆりさんもいるから、同じマークの人で集まってやればいい」

・「たくさんバッチがあればいい」

・「お世話する日を決めて、順番にやればいい」

 

…と、みんなで考えを聞きあっていると、あっという間に時間が経っていて、もう降園10分前!!

保育者「大変!もう帰る時間になっちゃう!今、いろんな考えが出たけど…今日のお世話はどうしよう?!」

Cくん「もう、とにかくみんなでやるしかないじゃん!」

 

そして、そこに居た14人くらい?の子どもたちで、一匹のモルモットのお世話が始まったのでした。しかし混み合います。

数人でモルちゃんを抱っこ、我先にと(Aちゃんが持ってきた)人参を手に取りモルモットの口元へ。

数名が床の新聞紙を取り替え、また数名でモルモットを抱いてゲージのなかへ。めまぐるしい5分間でした。

するとDちゃんが「わたし、まだごはんあげてないのに〜!」と涙しました。

また、Eちゃんも「お世話なにもできなかった。順番にしても、たくさんやりたい人がいるから、きっとお世話できない」と、お世話できなかったことへ不満。

大勢が集まるなかでも運よく自分のやりたい世話ができた子どももいれば、思うようにお世話ができなかったと残念な気持ち、悲しい気持ち、不満、ずるい(くやしい)といった気持ちを抱いた子どももいました。

その帰りには、「いろんな意見が出てみんなで相談ができてよかったこと」「でも、時間がなくなってそこに居た全員でお世話をしたら、ぎゅーぎゅーでうまくできなかったこと」「やりたいお世話ができた人もいたけど、できなくて悲しい気持ちになった人もいたこと」「しいなくんもあまりにたくさんの子どもが来てびっくりしちゃったみたい」「やっぱり4人くらいがお世話するには丁度いいみたい」といったことを子どもたちと振り返りました。子どもからも「ちょっとしいなくんかわいそうだった」といった感想もありました。

さて…翌日以降、モルモットのお世話はどうなるでしょう?

次回の園だよりへ続きます。

 

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