初等部 園長・校長コラム「風」

風Ⅱ-117 卒業おめでとうございます

3.17 卒業おめでとう杏の花が満開で、お祝いしてくれましたいろいろな学年がプレイルームでまとめの会を行いました6年生のまとめの会より4年生のまとめの会よりこぶしの花も満開です2月の休日。3月に結婚する同窓生のために仲間が集まりました、思い出ビデオを撮るために、当時の恰好で20年以上ぶりの竹馬。乗り方を覚えていました

 皆さん、卒業おめでとうございます。ご家族の皆様にも、お祝いを申し上げたいと思います。お子さんのご卒業おめでとうございます。卒業は、一人ひとりにとって大きな育ちの節目であり、保護者の皆様にとって、私たちにとっても、大きな育ちの節目です。
【入学】
 皆さんが入学したのは2011年4月でした。その前、3月11日に東日本大震災がありました。たいへん大きな被害が出て、6年たった今も苦しみ、悲しみを抱え、生きている方がたくさんいます。大地震や原発事故により、私たちの学校でも入学式を無事に行えるのか、何かあった場合の対応など、子どもたちの安全を深く考えたのでした。何よりも、私たちは子どもたちがいてくれること、子どもたちと過ごす日々の尊さを感じたのでした。
【6年間を振り返ってみて】
 さて、皆さん、この6年間を振り返ってみましょう。がんばったことや成長したと思うことは何でしょうか。(※)
 友だちとの関わりで変わったことは何でしょうか。(※)
 (※は、風Ⅱ-116「2、もうすぐ卒業生より」に掲載)

 桐朋小学校では、〈自分が自分であっていいというおもい〉を育むこと、「はやくやる」ことや「できる、できない」という結果ばかりに目が行くのではなく、取り組む過程を大切にし、できないことや失敗することも大切にしてきました。良いこと、頑張ったこと、 優れていることも大切にする、失敗の経験や、否定的な気持ちも含めて表現し、それも認めながら生きていけることを大切にしてきました。皆さんとの関わりでは、「みんなの前では声に出せない心の声、一人ひとりの声を大切に、受け止めてほしい」、「一人ひとりの存在を大切にすること、人との関わりを考え、他者を大切にすること」などを大事にしたいと考えてきました。
 学習では、知的好奇心やくいついていく力、コツコツと努力すること、「疑問を持ち、じっくり考えること」、「探究し発見すること、学ぶことのおもしろさや魅力を」、「自分自身の世界を知ること」、「いろいろな人の気持ちや考えを受け止めること」などを大切にしたいと考え取り組みました。
 また、一人ひとりがかけがえなく、一人ひとりが役割をもち、やり遂げることによって自信をもつこと、自己肯定感をもつことを大切にしてきました。6年生では、委員会活動などで下の学年と交わり、たくさんの力が発揮されました。企画、準備、実行、振り返りのなかで、物事を多角的にみる必要性や他者の視点に立つこと、協力の必要性とその方法、見通しを立てることなどをしたと思います。そのような力は、学習を行動に結びつけていく場であり、学んだことと自分たちの生きていく社会を切り結ぶことに繋がっているのです。
【21世紀社会をどうつくるか。その担い手になってください】
 今、世界をみると、教育に力を入れている国がたくさんあります。それは、21世紀の社会をどうつくるかという課題からです。人口問題、食料問題、環境問題、エネルギーの問題、戦争や紛争、テロの問題、格差の問題などがあり、地球を持続していくために、そのような課題をどうしていくのか、担い手を育てなくてはなりません。桐朋小学校の教育目標「社会の主人公としての根っこを育てる」ことにも繋がります。
 では、どのように育んでいくのかについてです。たとえば、戦争や紛争、テロの問題について考えてみます。
 皆さんは、夏に戦争体験の聴き取りをしました。
「おじいちゃんが初めて国民学校に通った時の写真を見せてもらいました。胸についている白い布は空襲で怪我をした時や死んでしまった時、どこの誰かすぐわかるように名前と住所と血液型が書かれているそうです。脇に抱えているのは空襲に備えるための防空頭巾で、通学の時には必ず持っていかなければならなかったそうです。おじいちゃんは、子どもがこんな姿で学校に行くような日は二度と来ないでほしいと言いました」「紛争が今も各地で起きていて、一般市民がまきこまれる悲惨な事件が続いています。なので、平和を築くためにはどうすればいいのか、考え続けてほしいです」(祖母や祖父から「子どもたちに伝えたいこと」)
「ぼくは戦いたくないし、親がいなくなったり離れたりするのが嫌だし、これからもふつうに生きて生きたいから、ぼくは戦争が起こるのがいやです。ぼくのパパは大人になったら戦争が起こるかもしれないと言っていました。夏休みに資料館に行った時、色々悲惨な物があって、これが本当にこうなったと思うと、怖くて夜も眠れませんでした」(『戦争の学習から学んだこと、未来につなげたいこと』)
 このように歴史を知ること、考えてみること、調べ理解を深めること、自分の考えを表現することなどを続けていくことだと考えます。
【かけがえのない命を大切にしよう】
 自分史では、一人ひとりのかけがえのない命、存在を考えました。
「私を授かる前、母のお腹に三回赤ちゃんが来たけれど、上手く育たなかったから、私の誕生を親戚のみんなが喜んでくれた」「私の前にはもう一人赤ちゃんがいました。しかし、その子は生まれる前に死んでしまい、家族にとって待望の赤ちゃんでした」など、一人ひとりの命の誕生にはたくさんの願いがありました。誕生してからは、そのままのあなたでいい、あなたのままでいいという大きな安心と、あなたがいてくれる幸せのなかで育ってきたのだと思います。

 保護者の皆様のおかげで、本日、卒業式を迎えることができました。6年間支えていただき、お世話になりました。ありがとうございました。

 これから新しい世界にとびたつ皆さん、自分らしく生きること、一人ひとりちがうことの豊かさを大切にし、かかわり合い、折り合いをつけながら、自分を成長させていってください。
 卒業おめでとう! (3.17 卒業式でのことばより)