2019.1.21

子どもたちが生活する場所の安全を[Ⅱ-182]

 桐朋幼稚園、桐朋小学校では、2011年以降、子どもたちが土や砂で遊ぶ、活動する場所の放射線の測定をしています。(水質検査も定期的に行っています。地下100m以上の深さの地下水を使用し、安全な数値を記録しています。)主な測定場所は、幼稚園砂場、畑、しぜんひろば、小学校グランド砂場などです。今月は14日に、放射線の測定を行いました。

・園庭砂場(中央5cm)0.054μSv/h(マイクロシーベルト)、4月~12月まで0.04~0.05μSv/h 

・自然ひろば(池中央5cm)は工事のため、11月以降計っていません             

・小学校砂場(中央部5㎝) 0.057μSv/h、4月~12月まで0.04~0.06μSv/h  

・畑(水場から近くの畑) 0.029μSv/h 、4月~12月まで0.02~0.04μSv/h 

・自然ひろば入口メタセコイヤ下 今回は測定していません。4月~12月まで0.03~0.06μSv/h

 空間放射線量の値μSv/h×24h×365日で、年間積算の放射線の人体への影響量(Sv/年)を計算します。国の年間放射線積算量基準値=1mSv(1ミリシーベルト)で、今回で一番測定値の高い小学校砂場の年間放射線積算量を計算すると、0.057μSv/h×24h×365日=499.32μSv=0.499mSv(0.499ミリシーベルト)となります。

 測り続けているのは、子どもたち、私たちのためにです。福島の子ども、現在も避難をしている子ども、原発事故を忘れない、私たちが使用するエネルギーのことなど、自分自身の問題として考えていこうと思います。

 2011年より、福島県渡利にあるさくらんぼ保育園(福島原発から直線で約60㎞)さんと繋がり、少しばかりの支援をすすめました。一昨年、さくらんぼ保育園を訪問した時に、園庭にある線量計の数値は、私たちのところよりもかなり高い値でした。園外散歩では、事故後、いまだに除染されず、通れない道もありました。これはたいへん悲しいことでした。(2018年12月のやりとりでは、除染がすすみ、園外散歩の範囲がひろがったそうです。)原発事故後、福島の子どもたちの子ども時代が奪われた事実と、現在と未来を考え続けていこうと思いました。

 また、教務の先生よりいただいた本(『知ろうとすること。』糸井重里、早野龍五、新潮文庫)を読み、驚き、計測を続けようと思いました。本の中で、糸井重里さんが、「(1973年、)当時、東京にいた人たちは、何も知らずにフォールアウトの雨の中にいたんですね。」と語っています。早野龍五さん(物理学者、東京大学教授)は、「はい。ぼくは、当時、その事実に一番最初に気がついた数人の中の一人だったわけです。」、「1973年に中国が大気圏実験をおこない、東京に雨とともに放射性物質が降った。学生だった私はガイガーカウンターで人々の頭髪や衣服などを測定。その数値は、福島の病院で被ばくされた方々と同程度以上、都民の多くが被ばくしたはずだが、それによる健康被害は現在にいたるまで報告されていない。」と。「何も知らずにフォールアウトの雨の中にいた」など、決してあってはならないことだと考えます。

 ムクロジの実をとりたい! おちろっ! ムクロジの実の不思議さ、おもしろさを知っている子どもたち。

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