2018.5.10

4月よりはじまった3歳児の世界 [Ⅱ-154]

 桐朋幼稚園では、3歳児の一年間で「毎日幼稚園に来る」「幼稚園に慣れる」「やりたい遊びに出あう」「やりたい気持ちを満喫する」「自分でやるたのしさを知る」こうしたことを大切に生活していきたいと考えています。

 幼稚園に登園するのも10数回目。この間に、友だちに出あい、保育者に出あい、保育室の遊具に出あい、家具に出あい、園庭の遊具に出あい、砂場に出あい、裸足で土をふみしめる感触に出あい、畑の虫に出あい、木の実に出あい、ドロドロの仲にひたる感触に出あい…。全身を使って、五感を働かせ、その時々にその子が感じる「やりたい」という遊びに出あいはじめています。

 

 特に、泥、土、水、砂の感触に触れ、徐々に心と身体を解放させている様子があちこちで見られるようになってきました。泥、土、砂、水は、変幻自在にそのイメージを変えることができます。「豆乳のおさとうたっぷりのココア」「チョコどろケーキ」「おさとうコーヒー」と、食べ物のイメージで遊んでいたのが、しばらくすると、工事現場に変わり、「空まで届くくらいの山づくり」に変わったり。

 

 今は、ひたすら手や足で触りながら、その感触を試し、確かめ、たのしんでいる様子です。保育者と会話しながら、イメージを膨らませていく子、ひとり黙々と自己対話をしながらその面白さに向き合っている子、友だちの様子を見て模倣することでたのしむ子もいます。泥、土、水、砂の遊びへの取り組みの様子も、よく観察すると、子どもたちの様々な向き合い方を感じることができます。

 保育者は、その姿をとらえながら、子どもたち一人ひとりへの働きかけの声のかけ方、援助のしかたを考え、探っていきます。その子その子の「いま」を大事に、その子のたのしむ世界を尊重しながらかかわっていくことを大切にしています。(『たんぽぽつうしん』7号より)

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