研究所だより

二八のつぶやき〈第34・35回〉

2016年12月21日


年の瀬も押し迫ってまいりました。
こんにちは。桐朋教育研究所です。

今年最後の「研究所だより」更新になりますでしょうか…。
毎度、お久しぶり過ぎて申し訳ありません…。

ですが、きっと来年からは、
何かしらの形で頻繁に
研究所情報を発信する予定ですので、
どうぞ皆さま、お楽しみになさってくださいませ!
 
新規講座やワークショップのこと、
研究所の日常、桐朋講座の活動ご紹介、
季節ごとの仙川キャンパスの樹木みどころ、
そしてそして、「今日の真野先生」(←?)など、
コンテンツはたくさん企画中です!

なお、「二八のつぶやき」は継続して
研究所だよりに掲載予定です。
(二本立てが基本となるかもしれませんが…。)
 

さて、今回の「二八のつぶやき」は、
両先生とも、芸術論的な雰囲気の内容となっております。

おそらくは、はからずも…なのですが、
二本続けて読むとアカデミックな香りに
ふわっと包まれるような感覚になりました。

学校という場所にいるだけで、
先生方の知見に自然に触れることができ、
何気ないところで学びを得られる、
というのは、本当に得難いことだと思います。

というわけで皆さま、
時々は桐朋を、教育研究所を思い出していただき、
お気軽に仙川キャンパスに遊びにいらしてくださいね!
何か、発見があるかもしれません♪

それでは、2016年最後の、
岸先生の「つぶやき」と、真野先生の「つぶやき」とを
2本続けてお楽しみください!

 


〔2016 /  11  No.34〕


 
今年のナンバーワン小説はこれで決まり。
 
恩田陸の最新作、「蜜蜂と遠雷」(幻冬社)である。
 
500ページを超える大作であるが、
最初の数ページを読んで一気にその物語の世界に引き込まれ、
ワクワクしながら最後まで読み終えた。
 
物語は日本で開催される国際ピアノコンクールを舞台にした群像劇である。
 
養蜂家の息子で各地を転々とし、
ピアノを待たない謎の少年・風間塵(じん)。
 
母の死をきっかけに表舞台から消えた
元天才少女の栄伝亜夜。
 
妻子を養いながら年齢制限ぎりぎりで参加した
28歳の高島明石。
 
アメリカの名門音楽院の学生で完璧な技能と
スター性を兼ね備えたマサル・アナトール。
 
この4人を中心に、ある時は審査員の視点から、
またある時は家族や友人の視点から物語は語られていく。
 
一体誰が第一次予選から第三次予選を勝ち抜き、
本選に進むのか、優勝するのは誰か、といった点も
ハラハラドキドキ、充分な読みごたえがある。
 
しかし、それ以上に素晴らしいのは
音楽という文字では表現しづらい世界を
ものの見事に文章にしている点である。
 
試みに自分の好きな一曲(クラシックでもJポップでも)を
文章で表現してみるとよい。
どんなに好きな曲でもその素晴らしさを
言葉で他者に伝えるのは不可能に近い。
 
バッハ、ショパン、ラフマニノフ等々、
コンクールの課題になっている曲や
参加者が自由に選ぶ曲が次々に出てくる。
 
そしてそれらの曲をコンクールの参加者が弾く、
という場面が繰り返されるが、
どの場面も飽きさせることなく緊張感を維持したまま、
その曲の華麗さや重厚さといったものまでを余すところなく
描き出す恩田陸の筆力にはただただ脱帽するしかない。
 
また、主人公の4人をはじめとして、
登場する人物一人一人が実に魅力的。
天才的なピアニストなんていうと
一癖も二癖もありそうな人物を想像してしまうが、
すべての人が優しく、思いやりに溢れているのが
読んでいて心地よい。
 
長く厳しいコンクールの後に、
登場人物それぞれがかけがえのないものを獲得し、
新たな希望を見いだして終わるエンディングも最高。
 
ハラハラドキドキ、感動しながら、次は一体どうなるの、
といった小説の醍醐味がぎっしり詰まった作品。
一読をお勧めする。
 
(岸)
 
 
 

〔2016 /  12  No.35〕


 
この一ヶ月ほどの間に、二つの国宝級の壁画を
じっくり見学する機会に恵まれた。
残念ながら二つとも本物ではなかったが。
 
一つは上野の国立科学博物館で開かれている「ラスコー展」、
もう一つは奈良県明日香村のキトラ古墳「壁画体験館・四神の館」。
 
二つの共通点は、暗い空間内の壁に描かれた
芸術性の高い彩色壁画であるという点。
 
ただし、ラスコーは石灰岩地帯の自然にできた洞窟内、
キトラは人工的に造られた古墳内で、時代も全く異なる。
ラスコーは二万年前の後期旧石器時代、
キトラは七世紀末の飛鳥時代。
そこまでの時代差を感じないのが不思議である。
 
壁画を芸術として捉えると画材(どのような鉱物が使われたか)や
道具(どんな石器や筆が使われたか)に興味がわく。
もちろんそういった面からの研究も進んでいるが、
私が最も知りたいのは「何のためにこれを描いたのか?」
という点である。
 
キトラは古墳なので被葬者の魂を鎮護するためだが、
日本で四神を描いた彩色壁画が見られるのは、
ここと高松塚古墳だけである。
朝鮮半島の古墳には多く見られるので、
葬られているのは古代中国の四神思想を崇拝した
渡来系の高貴な人物であろう。
四神に注目が集まるが、私はやはり天井の天文図が気になる。
 
最近の研究ではこれが
「紀元前の中国で作られ、
数百年後に修正が加えられて海を渡り飛鳥にたどり着いた。」
ことが明らかになってきた(こしき23号)。
被葬者と大陸や半島との関わりをどうしても知りたくなる。
 
一方、ラスコーは謎だらけである。
クロマニヨン人はなぜあんなに不便で
危険な場所をわざわざ選んで、何の目的で描いたのか?
彼らがあの場所で生活していた痕跡はない。
描かれているのは六百頭もの馬、牛、鹿など。
 
よくある説は、狩りの成功や豊穣を
祈願するためというものだが、
彼らが主食としていたトナカイは一例のみなのである。
となると、馬や牛と彼らとの関係が
特別なものだったのかもしれない。
 
後期旧石器時代は、三万五千年前~一万二千年前まで
約二万年間続いたが、その間ヨーロッパの洞窟壁画の
主題となった動物は馬と牛のみである。
 
やはり馬と牛は時代と空間を超越して神聖な動物だった。
そして壁画は彼らの書物、叙事詩、歌だったのではないだろうか。
 
(真野)

二八のつぶやき〈第32・33回〉

2016年11月11日


皆さま、お久しぶりでございます。

……おかげさまで、桐朋祭における、
桐朋教育研究所バザーは盛況(たぶん)に終わり、
かわいらしいパッチワーク作品も、
これ、売れるのかしら…な疑問点満載の研究所グッズも、
ご来場いただいたお客様にお求めいただけました!

これもひとえに、体を張って、顧問をかってでてくださった
真野先生のおかげです!ありがとうございます!

来年はよりよい商品の研究と共に、
もっと存在をアピールしていきたいと思っております。

さて、余った研究所グッズですが、
販売許可をいただいたため、ただいま教育研究所内で
引き続きお求めいただけます。

一番人気は、「まのちばきしーる」!
(さて、こちら、どんな商品でしょうか?)

もしよろしければ、お確かめに、研究所にお立ち寄りくださいね♪
 
さて、秋といえば、
芸術の秋! スポーツの秋! 山登りの秋(←強引)!ですね!

「二八のつぶやき」秋スペシャル、
岸先生の「つぶやき」と、真野先生の「つぶやき」とを
2本続けてお楽しみください!

 


〔2016 /  9  No.32〕


 
マルクス・レームという義足のジャンパーをご存じだろうか。
 
彼はリオデジャネイロ・パラリンピック開会式でドイツ選手団の旗手を務め、
9月17日、走り幅跳びのT44クラス(片下腿切断など)で8m21をマークし、
パラリンピック2連覇を飾った。
 
自己の記録8m40の更新はならなかったが
素晴らしい記録である。
 
8mといってもピンとこない人も多いと思うが、
現在の日本記録が8m25。
それをはるかに上回る記録を義足で跳んでいるのが
いかにすごいことか、お分かりいただけると思う。
 
パラリンピック2連覇を果たした彼には、
更なる目標があるという。
 
それは、義足の選手として正式にオリンピックなど
健常者の大会に出場することだという。
 
今回のリオデジャネイロ・オリンピックでも
参加標準記録である8m15をクリアし、
オリンピック出場を切望していた。
 
しかし、「反発力の強いカーボン製の義足で踏み切ることは、
人間の脚で踏み切るより有利なのではないか?」との疑問が呈され、
 
国際陸上競技連盟は「義足に有利性がないことを選手自身が証明すること」
を出場条件として提示する。
 
彼は、専門家の協力も得て、有利性がないことを実証しようと試みるが、
いかんせん時間が足りず、連盟関係者を納得させるだけの
科学的データを集めることができなかった。
 
それでも「メダル獲得などは関係なく特別枠で出場を認めてほしい」
と願い出るが、それも却下。
やむなくリオオリンピック出場を断念。
 
「僕の目標は健常者と競いあってメダルを獲得することではなく、
オリンピアンと同じく、パラリンピアンも素晴らしいアスリートであり、
すごい努力をし、素晴らしい結果を出している選手が
たくさんいることを多くの人に知ってもらうこと」だと彼は言う。
 
国際陸連ももう少し柔軟な対応をしてもよかったのでは思うが、
それでも今後義足の有利性を検証する作業部会を立ち上げる、とのこと。
 
そのメンバーにはレームも加わるようだ。
充分な検証をして、ルール変更がなされ、レームの夢が叶う可能性もある。
 
来年の夏、ロンドンでは健常者と障害者の世界陸上競技選手権がそれぞれ開催される。
レームが両方の選手権に出場し、素晴らしいジャンプで
世界記録を更新する姿を見てみたいと強く強く思う。
 
(岸)
 
 
 

〔2016 /  10  No.33〕


 
今年も八ヶ岳に二度行くことができた。
 
7月に高二のキャンプ実習で編笠山に、
10月に高一の八ヶ岳合宿で高見石に登ることもできた。
 
特に編笠山には勤めてから15回ぐらいは登っているはず。
最近は還暦を過ぎ、さすがに体力の衰えを痛感。
登山中、生徒に「大丈夫ですか?」と言われてしまう始末。
それでも登りたいと思う。
 
さまざまな動植物や岩石との出会い、
何よりも山頂に立った時の達成感は何度でも味わいたい。
 
 
私と八ヶ岳との最初の出会いは高校時代(1970年)。
 
クラスの日(一泊)で桐朋学園八ヶ岳高原寮に行こうということになり、
さらに有志15名程で最高峰・赤岳に登ろうという話に。
 
翌朝、美しの森を経由して赤岳をめざすことに。
ところが雨が強くなり、一人脱落、二人脱落、
とうとう最後は私を含め三人だけに。
なんとか頂上小屋にたどり着いた時は、あたりは真っ暗。
若気の至りとはいえ無謀だった。
 
登山にリスクはつきものだが、遭難とは紙一重。
どんなリスクがあるかを十分理解したうえで、
自然の脅威やリスクと共存していくことが大切だと今は自戒している。
 
 
二度目の赤岳登頂は新婚早々の1978年。
どうしても妻に赤岳の素晴らしさを味わわせてあげたいと思い計画したのだが…。
 
横岳の鎖場で泣き出してしまい、なんとか赤岳登頂は果たしたが、
「二度と登りたくない」と言われてしまった。
 
 
三度目の赤岳は2000年。
桐朋の教員有志(5~6名)を募っての二泊三日での
硫黄岳→横岳→赤岳→阿弥陀岳、縦走。
 
この時、荒井仁先生が背負ってきた昔懐かしい大きなキスリングザックが忘れられない。
 
この〝山の会〟はその後4年続いたが、
印象的なのは2001年に南アルプス北岳に登った時。
 
登り始めてまもなく、飯島先生の片方の靴底がパカッと取れてしまい、
テーピングを巻いて登り続けたが、程なくしてもう片方もパカッと。
登行不可能ということで、一人で下山することに。
 
飯島先生は「来ただけ!(北岳)」
というエピソードがその後もずっと話題に。
 
山はいいねえ。
高原寮もいいねえ。
いつまでも存続してほしい。
 
個人的には桐朋退職後、ヒマラヤに行ってみたいと思っているのだが…。
 
(真野)

桐朋祭・2016!

2016年09月23日


皆さま、お久しぶりでございます。

なんと、明日・明後日は、桐朋祭です!
(この間、体育祭が終わったと思ったら!)

生徒の皆さんの活躍ぶりを、
どうぞ楽しみにお出でくださいね。

例年通り、セミナーハウスでは桐朋講座の方々が
作品展示をなさっていますが、
今年は、新たな試みとして、
桐朋講座のパッチワーク同好会の方が、
バザーを企画されています。

25日、日曜日の13時より、45分間、
本館ロビーにて開催いたしますので、
皆さまお誘いあわせの上、ぜひぜひご来場くださいませ!

(売り上げは、すべて、学園に寄付させていただきます)


さて、今回は、桐朋祭の一環として出店いたします。
というわけで、「顧問の先生が必要です」ということになり、
真野先生にお願いしたところ、快く引き受けていただきました。

そこで、せっかく真野先生がいてくださるのなら…と、
先生に特製の「学年色パッチワークエプロン」を
していただくことに!

(真野先生、ありがとうございます!)


ちなみに、こんなお姿です……。


↓ ちら。



かわいいーーー。\(^o^)/


先生、ふりふりのエプロンを、
完璧!に着こなしてらっしゃいます!

ぜひぜひ、かわいらしい真野先生に、
会いにいらしてくださいね♪



\ 来てね ♪ /










 

二八のつぶやき〈第30・31回〉

2016年07月20日


……暑中お見舞い申し上げます。
(大変ご無沙汰しております!)

まるまる二か月ぶり!の「研究所だより」でございます。
(なんと明日からは夏休み!)
 
この間、いったい、何をしておりましたかというと、

★「美文字のワークショップ」開催
★『桐朋教育第48号』の編集
★「2016・オープンキャンパス」に桐朋講座として参加

など、様々に活気☆づいていた研究所でございました…。
 
そんな事情もありまして、なかなか
更新できなかったことをお詫び申し上げます。

上半期、走り抜けた感がございますが、
今年は桐朋祭でも、研究所は新たな試みを企画しております!
ぜひぜひ皆さま、桐朋祭に足をお運びくださいませ!


さて、おかげさまで、先日、『桐朋教育』の最新号が
発売になりました。

『桐朋教育』は、総合受付でお求めいただけます。
見本誌も用意してございますので、
仙川キャンパスにおいでの際は、
ぜひお手に取ってご覧くださいませ。

岸先生の「つぶやき」は、そんな『桐朋教育』編集の
真っ最中の頃に書かれたものです。
 
それでは、「二八のつぶやき」夏休みスペシャル、
岸先生の「つぶやき」と、真野先生の「つぶやき」とを
2本続けてお楽しみください!


 


〔2016 /  5  No.30〕


 
ゴールデンウィークが明け、
今年も『桐朋教育』の編集作業が本格的に始まった。
 
4年前に教育研究所に配属になり、
以来、慣れない編集という仕事をこなしてきたが、
正直いまだに文章を書いたり、校正をしたりといった作業は苦痛である。
 
しかし、そんな作業の中にも楽しみがある。
 
「こんにちは卒業生」のコーナーである。
毎年4人の卒業生に登場いただき、
私と真野先生が二人ずつ担当し、
インタビューを元に記事にするものである。
 
社会のいろいろな場で活躍している卒業生を探し、
卒業の期がダブったり、近すぎたりしないように
配慮しながら人選をし、インタビューに至る。
 
5月の半ば、私の担当する卒業生お二人にお会いした。
今年の『桐朋教育』は7月中旬発行予定なので、
ちょっとフライングではあるが、このお二人を簡単に紹介したい。
 
 
一人は
36期白の木下(旧姓・松山)由美子さん。
先ごろJリーグ(日本プロサッカーリーグ)
初の女性常任理事に就任し、話題になった方である。
 
大学卒業後、日本銀行、マッキンゼー、日本科学未来館、キッザニアに勤務し、
それぞれの場で責任ある立場での仕事をこなしてきた経歴の持ち主。
 
今年3月に突然Jリーグ理事就任のオファーがあり、迷うことなく即決。
キッザニアを退職してオファーを受けたとのこと。
 
 
もうお一人は
52期赤の山本結子(秀子)さん。
 
大学卒業後、システム会社、リクルート、化粧品会社、楽天などで働き、
ご自身の婚活体験を生かして、
二〇一一年に結婚相談所「きららマリッジ」を立ち上げ現在に至る。
 
 
お二人とも子育てをしながら
様々な職場で働き実績を残してきたが、ともに明るくポジティブ。
 
「人のせいにしない選択を」
「やるかやらないか迷ったらやってみる」
お二人のインタビューの中の言葉である。
 
千葉校長が4月に就任して以来
「枠を超える力を持って 人生に挑戦する女性に」
ということを繰り返し述べているが、
お二人はまさにそんな生き方を実践中。
 
軽々と枠を乗り越え、常にチャレンジ精神を持って生きている。
詳しくは『桐朋教育48号』を楽しみにしていただきたい。
 
(岸)

 


〔2016 /  6  No.31〕


 
「文武両道」。
 
これを校訓としている学校は、旧制公立高校に多い。
 
時折そういった学校が甲子園や花園に出場して話題になる。
たとえば、野球ではかつての都立国立高校、県立前橋高校、
ラグビーでは県立浦和高校など。特に浦高の校訓は「三兎を追え!」で
 
学業、部活の他に行事にも全力で臨めということらしい。
すばらしい!
 
今、東大の野球部が熱い。
今春のリーグ戦では12年ぶりにシーズン3勝を挙げ話題に。
 
その勝利の立役者が3年生エースの宮台君
(先日、日米大学野球の日本代表にも選ばれた)。
 
出身は県立湘南高校。
高校時代から注目されていた投手だったが、
残念ながら最後の夏は3回戦敗退。
 
彼の座右の銘「最も困難な道に挑戦せよ」を体現するために、
引退後「東大現役合格」と「六大学野球で勝ち投手に」
という高い目標を掲げ挑戦し、見事達成。
すばらしい!
 
野手で貢献したのが3年の山田君と楠田君。
なんと2人とも桐朋高校野球部出身(後輩なので応援したくなる)。
 
特に山田君は明治戦でサヨナラヒットやホームランを打つなど大活躍、
母親は44期緑である。
 
東大には他の五大学とちがって甲子園経験者はゼロ、
もちろんスポーツ推薦もない。
さらに練習時間も十分には取れない。
 
そのチームが1勝するとなったら生半可な努力では無理。
大学時代、私は「国公立大会」の決勝で必ずと言っていいほど東大と対戦し、
そのレベルの高さに驚かされた。
 
彼らと話をすると
「4年で卒業することは諦めている」
「甲子園組には負けたくない」
といった言葉が返ってきて、
 
「こいつら本気なんだ」と思った。
明治大学のあの島岡監督ですら、
東大(究極の文武両道実践大学)には敬意を抱きつつ全力で戦っていた。
 
一方で、女子の団体競技で
ハイレベルな文武両道実践校として話題となる高校はまずない。
 
私は40年間、桐朋女子でソフトボール部の指導を続けてきて、
つねに「高い次元での文武両道をめざせ!」
と言い続けてきた。
 
言うは易し、行うは難しだが、
生徒たちがそれに応えて達成しようと努力している姿を
実に頼もしく思っている。
 
そのことを他校も認めてくれていて、
他県のソフトボールで全国トップクラスの学校でも
快く練習試合を引き受けてくれ、
手を抜かずに対戦してくれることが何より嬉しい。
 
(真野)
 

二八のつぶやき〈第29回〉

2016年05月17日


5月も半ばとなりました。
こんにちは。桐朋教育研究所です。

 
ゴールデンウィークもとっくに終わり、
ただいま生徒の皆さんは、
体育祭に向けて全力投球!の季節。

(5月半ばとは…一体、いつの間に……?!)


さて、仙川キャンパスでは、
スモークツリーがとてもきれいです。

おもしろな木…という認識しかなかったのですが、
どうやら、ナチュラル派のおしゃれな方に
好まれているらしいスモークツリー。
そう思って見ると、確かに風情がございます。

仙川キャンパスにお越しの際は、
ぜひご覧になってみてくださいね!


 
さて、今回の「二八のつぶやき」
ご担当は真野先生です。

お誕生日の日に掲載された新聞記事を
4点、ご紹介くださいました。

すべてに目を通して思うのは、
真野先生の教師としての「真摯で熱い」、その姿勢。

何かを 「選び出す」 時、そこにはやはり、
確実にその方の人格が
表れるのだなあ…と思いました。
(いいこと言ってます!)

さてさて、それでは、本題の真野先生の「つぶやき」をどうぞ!




〔2016 / 4  No.29〕


 
先月、平成28年3月16日の朝日新聞。
この日の記事を保存しておこうと思い、いつも以上にじっくり目を通していた。
 
なぜかというと、平成を昭和に直すと私が生まれた日だったからである。
(たいした理由じゃありませんね。)
なぜかこの日は教育関係の記事が多く、
どれも気になったので一つ一つについて
まさに〝二八のつぶやき〟をすることにした。
 
 
まず一面のトップには
『18歳選挙権で愛媛県立全高校が政治活動届け出を校則化』の記事が。
 
校長側は「安全管理のため必要」とする一方、
「生徒の権利を縛りかねず、選挙権年齢引き下げの趣旨に逆行する」
と指摘する声も取り上げられていた。
 
さて本校では…。
私が高二の時、母校の桐朋高校において同級生10名(友人も多くいた)が
〝プレス桐朋〟という新聞への学校側の検閲をめぐり、
自主活動の自由を求めて抗議デモをおこし、職員室を二日にわたりバリケード封鎖し、
最後は在校生八割の自主解除要求を受け入れる形で
全員が退去、退学に追い込まれてしまった事件が蘇ってきた。
 
あの頃は熱かった、若かった。
この事件は私の人生にとって大きなターニングポイントとなった。
 
 
次に
『広島・中三自殺、冤罪だった万引き』。
 
中一の時に万引きした生徒の名前を当時の教員がパソコンに誤入力し、
これをもとに現担任は廊下で「私立高校へ推薦できない」旨を伝えたとの記事。
 
誤入力を修正できなかったのも、
廊下の立ち話で済まさざるをえなかったのも
「教員が多忙でゆとりがなかったから」
という理由が必ずあがってくる。
 
どんなに忙しくても一人一人の生徒に丁寧に向き合うことが使命のはずなのだが…。
教師のひと言はその子の人生(生死まで)を大きく左右してしまうのだと肝に銘じるべき。
 
 
三番目は
『長期の休みに宿題を出さないで。学校がある日には出来ない、
まったく違ったことを体験したいから』
という中学生の投稿をめぐって、
〝どう思いますか〟の問いかけに応えた四人の意見が載っている。
 
私もかつて本校の職員会議で、
「一度すべての教科で夏休みに全く宿題を出さないようにしてみては。
それでもやる子はやると思いますよ。」
と提案したところ、
英語や数学の先生方から猛反発を食らったことがある。
私はこの中学生を支持しますね。
 
 
四番目は
〝声〟欄に『3・11高校が休みなのは疑問』と投稿した高校教員の記事。
 
どうやら東日本大震災以来、
宮城県ではこの日を休日と定めているらしい。
 
大震災をきちんと記憶するためにも、
教育現場だからこそできることがあるのではないかと投げかけている。
同感である。
 
 
四つの記事ともに、いずれも教育現場への重要な問題提起である。
さっそく新学期に当たって本校の生徒とともに考えてみたい。
 
(真野)