2012年度 第4号 安宅りさ子

トップページ  > 大学案内  > 桐朋見聞録  > 桐朋見聞録 ~2012年度~  > 2012年度 第4号 安宅りさ子

2012.09.21 Fri

演劇専攻 安宅りさ子教授 (教務部長、ステージ・クリエイト専攻主任)

八ヶ岳合宿を終えて

 演劇専攻では、毎年夏休みの終わりに、八ヶ岳高原寮で3泊4日の1年生の合宿を行っている。演劇専攻の教育課程は3つの指針「戯曲が読めること」「からだを鍛えること」「集団行動がとれること」に基づくが、この合宿では特に「集団行動がとれること」が課題になる。
 寮では、配膳・後片付けから、ふとんの上げ下ろし、清掃にいたるまですべてを自分たちで行う。起床から就寝まで、終日集団行動をとらなければならない。修学旅行でさえ、ホテルを利用してきた現代っ子たちにとって、自動販売機やコンビニもなく、携帯電話の利用もままならない環境で芝居づくりに励む4日間は、ちょっとした「苦行」のように思えるかもしれない。

 今回の合宿は、演劇専攻とステージ・クリエイト専攻の合同授業になった。来年度の学科構成の変更を前に、ステージ・クリエイト専攻ではより実践的なカリキュラムを導入し、演劇専攻の劇上演実習や音楽専攻の演奏会で、スタッフ実習が展開されている。スタッフの勉強のためにもパフォーマーを経験することは重要であり、今回の合宿では専攻の別なく班を編成し、課題の創作にとりくんだ。したがって、両専攻の1年生に教員、チューターを務める専攻科生が加わり、総勢127名が3泊4日寝起きを共にすることになった。

 今年度の課題作品は、谷川俊太郎の短編「テルのお話の話」。各班が同じ題材を使って、15分の芝居に仕上げ、3日目の夜の「八ヶ岳演劇祭」で発表する。課題は1日目の夕食後に提示されるので、2日間のうちに台本を書き、稽古を重ね、上演の準備をしなければならない。しかも2日目の朝は、沢のぼりにも出かける。極限状況の中で、演劇に必要なアンサンブルを築くことを学んでいく。
 順調に準備を進めていく班、意見の衝突を繰り返す班、試行錯誤を続ける班・・・。それでも今年は「八ヶ岳大賞」を選ぶのが難しいほど、秀作ぞろいだった。八ヶ岳演劇祭のあとは、グラウンドでキャンプファイヤー。火を取り囲む学生たちの顔は、課題をやりとげた喜びで輝いていた。

 合宿への参加は、今年で21回目になる。時代とともに、学生たちの生活環境は変わっていく。それでも、自らの限界を乗り越えようとする学生たちのエネルギーは変わらない。今年も一人の脱落者もなく、無事に合宿を終えることができた。この合宿を継続できるのも、管理人の牧村夫妻、食堂スタッフ、関係各位のご理解とご協力のおかげである。心より御礼を申し上げたい。