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在学生の声


芸術科ステージ・クリエイト専攻 2年  浦島 俊行

「何をやっているかわからなくていい」

 「何をやっているかわからない」とは、良く他専攻の学生から言われることだ。しかし、まさに桐朋学園芸術短期大学芸術科ステージ・クリエイト専攻とは「何をやっているかわからない」専攻である。
 私は機会あって、2011年4月5日から10日まで、渋谷の東急文化村・オーチャードホールにて行なわれた『ヤン・リーピンの蔵謎』という舞踊公演に照明スタッフとして参加した。ヤン・リーピンとは中国の国家一級の女性舞踊家であり、今回の公演では九寨溝藏謎劇団という主に民族舞踊と民族楽器、唄、演劇を学んでいる男女40人から50人の若者を引き連れての舞踊公演であった。当然、中国側からも演出助手、舞台進行、照明、音響等、数十人のスタッフが来日し、公演準備は日中のスタッフで協力し合いながら行なわれた。もちろん、準備の過程では様々なトラブルが付き物であり、その度に中国人スタッフとの話し合いを繰り返す。簡単な英語を話せる者がいても、舞台作業に関わる専門的な言葉を中国語で話せるものはいない。そのために、専門の通訳を通してコミュニケーションをとる。最初はお互い、本番に向けて気が張っているところもあり、時には意見が衝突することもあったが、日を追うごとに、中国人スタッフとのコミュニケーションは円滑に進めていくことができた。住む国や話す言葉は違うが、本番の幕を開けるための仕事にそんなことは関係なく、皆、目指すところはいっしょだ。無事に本番の幕が開け、千秋楽を迎え、終演後の接収作業まで日中のスタッフで行なった。ここには書ききれないほどの経験と勉強をさせていただくことができ、加藤三季夫教授をはじめとする現場関係者の皆様には感謝の気持ちでいっぱいだ。
 例えば、この公演の作業現場を他専攻の学生や一般の方々がみたら、おそらく、皆、口を揃えて言うであろう。「何をやっているかわからない」と。しかし、実際の現場で仕事をしている人の中には無駄な人はいない。公演の企画をしたプロデューサー、そのもとで働く制作スタッフ、舞台作業を円滑にするための監督、進行スタッフ、セットをデザインする美術家や、実際に作り動かしていく大道具スタッフ、照明をデザインする照明家や、そのそのもので働く照明スタッフ、音響スタッフ、映像スタッフ、通訳、劇場技術スタッフ等、中に入ってみると見えてくる仕事がたくさんある。
 このような「何をやっているかわからない」仕事をしている人たちがいなければ、演者は輝けない。ステージ・クリエイト専攻とは「何をやっているかわからない」人たちを育てるための専攻でよいと思う。なぜなら、絶対に必要な仕事となるからだ。