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2013年度 第15号 鴻上尚史


2014.1.8 Wed

演劇専攻 鴻上尚史 (特任教授)


じつに真面目な生徒達

 僕の桐朋生の印象は、「なんて真面目な生徒が多いんだろう」というものです。
 ほとんどの生徒がじつに熱心に授業に取り組みます。それはとてもいいことなのですが、逆に僕は少し不安になったりします。
 僕達は、「表現」という、本質的には教えられないものをあえて教えていると思っています。「表現」は「芸術」と呼んでもいいのですが、それは、スポーツの世界の数字のような「絶対の基準」がないものです。あなたが教えている「芸術的正解」は、じつはもう正解ではないかもしれない、という可能性はいつもあるものだと思っています。
 そういう意味で、「表現」を学ぶ者は、もっとしたたかで、もっとタフで、もっと野望に満ちていていいのではないかと思うのです。
 もっとも、高校を出てすぐの人間にそんなことを求めるのは、いささか無茶だということも分かっています。そういう意味では、桐朋生は、2年かけて、「表現」を疑い、自分なりの「表現」を見つけるために、真面目に学校に通っているのかもしれません。そう思うと、じつは、2年は短いと思わざるをえないのです。もう少し時間があれば、もっとタフな生徒として、「表現」と向き合えるんじゃないかと感じています。
 ともあれ、真面目なことは出発点です。否定することではありません。ただ、真面目だけでは自分なりの「表現」にたどり着けない、ということを知っていって欲しいと思います。

鴻上尚史(劇作家・演出家) プロフィール
主な作品に「朝日のような夕日をつれて」「トランス」。主な著作に「俳優になりたいあなたへ」。88年紀伊国屋演劇賞、91年ゴールデンアロー演劇賞、95年岸田戯曲賞、2009年読売文学賞戯曲・シナリオ賞受賞。