芸術科演劇専攻45期卒業公演ab組
『物理学者たち』
作 F・デュレンマット / 訳 岩村行雄
演出 ペーター・ゲスナー
2月18日(土)・19日(日)に演劇専攻2年生ストレートプレイコース卒業公演「物理学者たち-二幕の喜劇-」を上演しました。
F.デュレンマット作、岩村行雄訳の現代ドイツ戯曲を、ドイツ出身のペーター・ゲスナー准教授が演出。精神障害を持つエリートたちが莫大な入院費を支払って過ごしている静かな精神病院で突然おこった事件。福島の原発事故よりまもなく一年になる現在の日本で上演されると一段と重い意味を持つものでした。自分をニュートンだと信じている老患者。アインシュタインだと信じている患者。聖書に登場する黄金王ソロモンの声を幻聴する患者。その三人の物理学者たちが、次々と看護婦を殺害してしまう非常事態は、なぜ引き起こされたのか・・・・・。政治の手によって物理学がおそろしい災厄をもたらす道具になってしまった現実に、観客は直面することになります。斬新な舞台美術と照明、抑制された音響効果の中、100%安全なテクノロジー、という幻想が打ち砕かれた今、という時代の中で私たち市民はなにを考え、なにを求めて生きればよいのだろうか・・・・・。45期の卒業生たちは、まさに同時代の問題意識をたくましく心身に刻んで社会に足を踏み出すことになります。その知的な決意がありありと前面に出た上演でした。 |
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